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【青祓小説】相合傘【燐しえ】
 ども!今晩はですなちゅです!

前回の投稿からどっこも引き継いでませんが、
何か燐しえ書きたくなって、書いてしまいました!
相合傘の話です!原作39話近辺の話です!


・・・あのね。
作中でも書きましたが、燐としえみの相合傘って、すごくレアなんですよ。
だって普段、鍵使うじゃん奴ら・・・
しえみとか、学園への往復、鍵じゃん・・・
ということで、色々ケースを考えてたんですが、いやこの妄想楽しかったです。
あ、あと小説中にはありませんが、しえみが徒歩なのは、学園までの道のりを(慣れているでしょうが今一度)確認したかったからです。
通学路ですもんね!


と、いうことで。

「続きを読む」に投下しますので、
お時間ある時にでも、ご覧頂けると幸いです☆


今日は定時に帰れたのでテンションめっさ高いです(笑)
ではまた!



 相合傘


 午後遅く、雨になった。
杜山しえみは鞄から折りたたみ傘を取り出し、ばさりと開いた。
「雨、だねえ」
誰にともなく呟く。
夏休みも終わり、9月になった今は、台風の季節だ。自然、雨も多くなる。 
「大雨にならなくてよかった」
和装で、からころと下駄の音を響かせながら、しえみは帰途につく。

 今日、しえみが学園まで届けた荷物には、色々と水に弱いものもあった。
乾燥の薬草。火薬。そして・・・強い酒に薬草を漬け込んだもの。
飲むわけではないので、水が入るとアウトなのだ。アルコールによって祓われる悪魔もある。そう・・・魍魎のような。

魍魎はそもそもが、菌に憑依した悪魔だ。依代が死ねば、虚無界に弾き飛ばされる。
そして菌というものは概ね、水分を奪われると、ひからびて死ぬ。よく注射する際にアルコールで消毒するが、あれは皮膚についたアルコールが菌の細胞膜を通して水分を吸い取ってしまうので、菌が死ぬという要領なのだ。
 しかしその脱水反応にも、勿論だが飽和点があるわけで、だから水分を混ぜてはいけない・・・と、こういうことなのだった。

 それにしても、最近はお使いが多すぎる。
本来、ふつまやは祓魔師側に品物を取りに来てもらうシステムなのだが、どうやらここのところ、騎士団の手が足りないらしい。
何やら不穏な動きも多いし、市井にも不安は広がっているようだ。
注文される品の内容も今までとは変わってきているし、候補生という立場からも、どうにもきな臭く感じる。

 そんなことをつらつらと考えながらしえみが歩いていると、ふいに背後から声をかけられた。
「しえみ!」
振り返ると、奥村燐が、ばしゃばしゃと水たまりを蹴散らしながら駆けてくるところだった。
「丁度よかった、入れてくれ!」
言った時にはもう、しえみの隣まで来ている。
足が速いなあ、と微笑みながら、しえみは傘を差し掛けた。
「傘、持ってなかったの?」
「ん?・・・ああ、そうなんだよ」
燐は、くしゃっとした笑みを浮かべる。
「ほら、いつもは学校の後、塾だろ?で、学校から塾までは鍵で、そんで、塾から寮までも、鍵じゃん。するとさ、傘、忘れんだよ。ほら、学校が鍵で、・・・あれ?」
説明しているうちに混乱したらしい。要するに、普段は朝学校に着いてからずっと鍵で移動するので、下駄箱横の傘立てにでも、忘れ去られた傘があるということだろう。おそらく、複数。

 しえみは、こくりと頷く。
「大丈夫。意味は、分かったよ」
すると、燐がぼりぼりと後頭部を掻きながら溜息を吐く。
「雪男は折りたたみ傘にして持ち歩けって言うんだけどさ、面倒じゃん。しかも今日、塾休みだからさ。鍵も使えねえし」
鍵は、むやみやたらと使ってはいけないことになっている。というか、任務や塾以外での使用は原則禁止だ。特殊な法則で動いているものなので、あまり濫用するのはよくない。
「でさ、しょうがねえから濡れて帰るかって思ってたら、しえみがいたわけ」

「・・・あれ?でも」
しえみは首を傾げる。
「学校から来たんなら、傘があったんじゃない?」
「いや、それがさ。クロとその・・・遊んでて」
巨大化したクロと剣の稽古をしていたことを濁す燐に気づかず、しえみは、クロがいるのか、と周囲を見回す。
 燐が首を振った。
「今は、パトロールだって言ってどっか行ったぜ」
「そうなのかぁ」
ちょっとがっかりした。クロの滑らかな毛並みは、撫でていてとても気持ちがいいのだ。

「・・・なあ」
ひょい、と燐が傘の持ち手をしえみから取り上げながら言う。
一瞬、手が触れる。
どきりとした。
正直、自分より背の高い燐に傘を差し掛けているのは腕がきつかったのだが、走ってきたせいだろうか、燐の指先は熱かった。
その、体温。
 燐が何か言っている。でも、言葉は耳をすり抜けて、熱さだけが耳たぶに折り重なっていく。先ほど一瞬触れ合った指先に、感触が残っている。
「・・・しえみ?おい、大丈夫か?」
目を覗き込まれて、はっと我に返る。
しえみは慌てて、小刻みに首を縦に振る。
「うううううん、だ、だだ大丈夫、だよ?」
「全然、大丈夫じゃねえだろ。熱あるのか?」
「ななななな、ないっ!」
額に掌を宛てられそうになって、動揺して身を引く。
 思ったよりも、大きな動作になった。

 燐が少し、悲しそうな顔をする。
「・・・・なあ。雪男もだけど、なんかおまえら最近、俺のこと避けてる?」
「そっそんなこと!」
絶対にない、としえみは両手で拳を作る。さっきの感触の名残も、一緒に握り込んだ。
「ゆきちゃんにも、何か理由があるんだよ。最近、どうも妙な動きがあるみたいだし」
「え?どこに?」
「・・・・あ」
しまった、と思う。ここのところ各地で起きている悪魔絡みの不審な事件は、しえみがふつまやの仕事を通して知ったことだ。
つまり、守秘義務が適用される。
警察などと同じように、祓魔師にも守秘義務はある。業務絡みで見知った事柄は、部外者に口外してはいけないし、それが現在進行形での事件であれば、担当外の同僚に話すことも憚るべきだった。
 そして、燐は部外者ではないが、明らかに担当外だ。
なにより・・・無用な心配を、かけたくなかった。
だから。

「私も、よく知らないんだ」
これは、嘘ではない。詳しく内容を掴んでいる人間など、どこにもいないのだから。
 ぎこちなく言うしえみに、燐がちょっと眉を寄せた。
「なんだそれ」
「・・・・分からないの。だから、この話はこれでおしまい」
言ってから、しまったと思う。
この言い方では、つっぱねていると、とられただろうか。
不安になってしえみが上目遣いに燐を見ると、
果たして憮然とした面持ちがあった。
「何だよ。しえみも雪男も、俺に隠し事ばっかだな」
「えっと・・・・隠し事、っていうか・・・」
「最近、雪男の奴、しえみん家行ってばっかだし。俺はいっつも仲間はずれかよ」
ぶすっと燐がふて腐れる。
仲間はずれ・・・とはつまり、蚊帳の外、と言いたいのだろう。

そう。ずっと保留されたままの自分の立場、何も知らされず、中途半端な立場。
よかれと思って動いても、何とかしたくて駆けずり回っても、不浄王の時だって。
皆が決死の覚悟で働いている時、お前は関わるなと監房に放り込まれた。
何なんだよ、という気持ちだろう。
それはよく分かる。でも・・・


「あのね、燐!」
「しえみ!」
言葉は重なった。えっと、と双方で戸惑う。
「燐・・・どうぞ」
「いや、しえみから」
燐が、傘を持っていないほうの手でしえみを促す。意外と丁寧な仕草だ。
 しえみは、じゃあ、と一度息を吸ってから、言った。
「ゆきちゃんがうちによく来るのは、燐を仲間はずれにしようとか、そういうのじゃないんだ」
そう。雪男はしえみに、勉強を教えに来てくれているのだ。
「私、燐と・・・みんなと同じところに行きたいと、思ったの。だから」
先日、正十字学園の転入試験を受けた。手応えはあった。
「もっと強くなりたいの。燐の横に、立てるくらい」
言ってしまえばいい。もうすぐ、もしかしたら同級生になれるかもしれないと。
 なのに、プライドが邪魔して、言葉は出てこない。
だって。
もし、落ちていたら。失敗していたら。
しえみだって、気づいている。それは自分に対する、逃げだ。
燐に、同級生になれるかも、と宣言したら、自分も舞い上がってしまう。
一緒に勉強して、ご飯を食べて、塾へ行って。
そういった、今まで自分が持っていなかった世界をこれから手にできるかも、という、それが明確なビジョンとして目の前に現れてしまう。
それで、失敗したら。
怖かった。
燐の横に立ちたい。一緒に、燐が抱えているものと戦いたい。
みんなともっと、一緒にいたい。
そう思っている。でも。
口にして、明確に目の前に現れたそれを手にできなかったら、辛い。
言霊というものは、ある。だから・・・

「ゆきちゃんは、私を助けてくれてるの。燐をびっくりさせるために」
問題をすり替えたせいで、何を言いたいのか分からない発言になった。
しまった、と思う。燐は隠し事を気にしているのに。
案の定、燐は傷ついた顔で、ふいと顔を背けた。
「・・・意味、わかんねえ」
内心、そうだよねえ、と思う。今日の自分は、しえみ自身、意味がわからない。
そもそも、どうして学校に落ちていたら、ということに自分がここまで拘るのか、理解できなかった。
だって、落ちたって、今までと何も変わらないだけ、なのに。

 下を向いて唇を噛むしえみに、燐がぽつりと言った。
「お前、俺のこと、嫌いか」
「え?」
「雪男も、忙しいっつって俺とあんま一緒に居ようとしないし。勝呂たちとは仲いいけど、考えてみれば俺、ヴァチカンからも面倒臭い奴扱いだし。俺、嫌われてる?」
しえみは目を見開く。
それは、サタンの落胤である燐は、上層部からは嫌われていると言ってもいいだろう。忌避すべきものとして扱われていると言い換えてもいい。
そうだった。普段明るくしていも、燐には足を捉えて放さない様々な枷がある。

 しえみは、とっさに燐の二の腕を掴んだ。
「お、落ち込むのは、雨だからだよ!」
「え?」
「雨の日はね、よくないんだよ!うちに来て!おいしいハーブティー、飲もう!」
「いや・・・俺は・・・」
燐が、目をそらす。よくない。よくない兆候だ。いつもの燐らしくない。
 瞬間、口をついて出た。
「私は、燐のこと、好きだよ!」
びっくりしたように、燐がしえみを二度見する。
その、揺れる瞳に、畳みかけた。
「好きだよ!私。みんなも燐のこと、好きだよ!大好きだよ!保証する!」
うん、と大きく頷いてみせると、燐が笑い出した。

「・・・そっちか・・・ははっ、そうだよな」
なぜか、燐は首まで赤くなっている。予想外の反応に、しえみはきょとんとした。
燐は傘を持ち替えてしえみ側の手を空けると、その背中を、ぽんと叩く。
「さんきゅ。元気でた」
「そう?」
「おう」
にこ、と破顔してみせる燐。いつもの表情だった。
しえみはうれしくなって、燐の手をとる。
「じゃあ、うちでお茶しよう!」
「・・・え、あの、この・・・・手?」
「ん?」
笑ったまま首を傾げると、燐が真っ赤な顔でぎこちなく、視線を前に向けた。
「し、しえみん家、行くか!」
「うん!ハーブクッキーもあるよ!」
「・・・それは・・・ちょっと・・・」
「今回はね、ちょっとしか失敗してないよ。おいしいよ!」
「失敗は、してるわけなんだ・・・」
目を泳がせる燐。でも。

繋いだ手は、暖かい。

しえみは、無言で、ぎゅっと握りしめた。

大丈夫。
心配ないよ。
燐は、絶対に負けないんだ。
だって、みんなが・・・私も、いるから。

そう想いを込めていると、燐の手が、
強く、握り返してくれた。


それは、暖かくて、大きな、優しい手だった。


(了)

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